肩こりというのは、病名ではなく、肩がこわばったり痛みを感じたりする症状のことを言います。
一言に「肩こり」と言っても、いろんな痛み方があり、原因も様々です。
一般的には、長時間同じ姿勢を続けていたことなどによって、頭や腕を支える筋肉が緊張し、循環障害が起こり、痛みやこり感などの不快な症状が出ると考えられています。
また、逆に肩を使いすぎて、凝ったり痛くなる場合もあります。
筋肉疲労や血流が悪くなって起こる一時的な肩こりが多いですが、症状がひどくなると、頸肩腕症候群といわれ、緊張型頭痛や、顔面・腕の機能障害も現れることがあります。
また、頚椎ヘルニアや胸郭出口症候群など、他の病気が原因で肩こりが起こる場合があるので、ご自分の肩こりがどのような症状かをきちんとチェックし、気になる症状があるようでしたら病院へ行きましょう。
主な原因と症状
■一次性(特定の疾患と関係のないもの)
肩の筋肉が緊張状態になり、血流が悪くなり、痛みやコリを感じる症状なので、長時間同じ姿勢をしてたことが最大の原因であると考えられます。
- デスクワークなど長時間同じ姿勢をしている
- スマホの使いすぎ
- 姿勢が悪い
- ストレスを感じやすい
- 歯の噛み合わせが悪い
その他、要因として考えられることを揚げてみます。
- 疲労…長時間のパソコンワーク、細かい手作業、眼精疲労、寝不足など
- 体形…なで肩、猫背、斜頚、肥満など
- 不良姿勢…アゴを突き出す姿勢や、背中を丸めて前かがみになる姿勢など
- 精神的緊張…強いストレスを感じると筋肉が硬くなり血流も悪くなる。
- 冷えすぎ…冬の寒い時期は自然と肩に力が入り、肩こりを感じる人が多い。夏にクーラーの効きすぎた部屋でも同じ。
- 体に合わない下着…締め付けの強すぎる下着は、ストレスを与え、血流も悪くなる。サイズの合わないブラジャーも肩こりの原因。
また、首・肩の筋肉が歪むと、筋肉への酸素・栄養の供給不足が生じて、肩こりが起こります。(下記、「肩こりと体バランス」参照)
■二次性(疾患の一症状としての肩こり)
- 首周辺の疾患…頚椎椎間板ヘルニア、変形性頚椎症、後縦靭帯骨化症、頚椎捻挫(むちうち症) など
- 肩周辺の疾患…胸郭出口症候群、五十肩 など
- 肘、手周辺の疾患…外上顆炎(テニス肘)、内上顆炎(野球肘・ゴルフ肘)、ばね指(弾撥指) など
- 末梢神経疾患…手根管症候群、肘部管症候群、ギオン管症候群 など
- 呼吸器系疾患の関連痛…肺結核(首から背中にかけて)、肺癌、胸膜炎 など
- 循環器系疾患の関連痛…狭心症(左胸から左肩にかけて)、心筋梗塞、動脈硬化症、高血圧、低血圧、大動脈瘤、大動脈炎 など
- 消化器系疾患の関連痛…胃潰瘍(肩甲骨内側、背部)、胆石症・胆嚢炎(右肩、右肩甲骨内側)、急性肝炎・肝臓癌(右肩) など
- 歯周辺の疾患…歯痛、歯槽膿漏、咬合不正 など
- 眼精疲労…近視、遠視を適切に矯正していない場合 など
- 自律神経失調症
- 更年期障害
- その他…蓄膿症、難聴、扁桃腺把大、うつ病などの心身疾患 など
肩こりの症状と原因
1.首を動かすと痛い
- 筋肉疲労
- 以前に首に衝撃を受けた経験がある(頚椎捻挫、むちうち症)
2.首を動かさなくても痛みを感じる
- 頚椎に損傷がある
- 顎関節症で首に痛みがでる場合
3.首の痛みが肩や腕にも及ぶ
- 頸部の頚椎ヘルニヤ
- 頸肩腕症候群
- 変形性頚椎症
4.いつも首の後ろにコリがあり、頭が重い
- 頚椎の1、2、3、4、5番の異常
- 噛み合わせの異常
- 頚椎の狭窄症
- 血圧の異常
5.肩を動かすと痛い
- 五十肩(肩関節周囲炎)
- 肩の脱臼
- 子供の肘関節脱臼(肘内障)
6.肩が重く、腕や手に痛みやシビレがある
- 胸郭出口症候群
- 肩の腱損傷
- 腱鞘炎
7.肩が痛く、手や足の関節も痛い
- リウマチ
- バネ指
8.左肩が痛み、胸が締めつける様な痛み
- 狭心症・心筋梗塞
- その他の心臓疾患
9.腹部から背中と肩の痛み
- 内臓疾患
痛みは身体の危険信号のメッセージです。早めの診察を!
原因となる筋肉
肩こりは、主に「僧帽筋」「肩甲挙筋」「菱形筋」の筋緊張が 原因です。
(下の筋肉の図をご覧下さい。)
肩関節(自由上肢)は前後、左右といろいろな方向に動く関節になっていて、片方の上肢だけで50本の筋肉で構成されています。その各筋肉がお互いに拮抗して働いています。
さらに言うと、肩甲骨(肩胛骨)を仲介して骨盤の上部に付いている為、腰にも影響します。
長時間同じ姿勢を続けていると、筋肉は慢性的に緊張している状態になります。筋肉に必要な栄養・酸素の供給と不必要な老廃物・二酸化 炭素の回収が滞ってしまうと筋肉は疲労し、肩こりの症状が出てくるのです。
■肩こりに関係の深い筋肉
- 僧帽筋(そうぼうきん)
上部・・・首の後方伸展(首を後ろに倒す筋肉)
下部・・・肩甲骨の化制と内転(手を上げる筋肉)
- 肩甲拳筋(けんこうきょきん)
僧帽筋の上部線維。肩甲骨の挙上(肩を上げる筋肉) - 胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)
首の前方屈曲(首を斜めに動かす筋肉。斜頚に関係する) - 三角筋(さんかくきん)
前方・・・肩関節屈曲(手を前方に上げる筋肉)
中間・・・肩関節外転(手を横に上げる筋肉) - 小菱形筋(しょうりょうけいきん)・大菱形筋(だいりょうけいきん)
肩甲骨の内展(肩甲骨を背骨に寄せる筋肉) - 大胸筋(だいきょうきん)
肩関節水平内転(腕を前に回す筋肉) - 広背筋(こうはいきん)
肩関節後方伸展(後ろに手を伸ばす筋肉(ブラジャーのホックを止める時など)
僧帽筋は、重い頭の角度を保つと共に、上体を起こしている間、左右合わせて約10Kgにもなる上肢(腕)を支えるなど、日常生活でも酷使されるため、疲労がたまりやすい筋肉です。
特に、
・顎関節症
・首の傾きがある
・なで肩
・猫背
の人は、疲労がたまりやすい体型といえます。
スマホ症候群
最近のスマホの普及により、肩こりを訴える人が多くなっています。
スマホ症候群の場合、緊張している筋肉が、普通の肩こりと違い、首の前の筋肉=斜角筋群、小胸筋などが緊張しているのが特徴です。
※詳しくは、こちらのサイトをご覧ください→歪みのホームページ:スマホ症候群・スマホ首
肩こりと体のバランス
肩こりは、筋肉の疲労や、筋肉の緊張によって起こるのですが、それは体全体のバランスと大きく関係しています。
骨盤の歪みから肩こりが起こる多い例
骨盤がユガミ
↓
歩行がおかしくなる
↓
姿勢が悪くなる
↓
肩が前に巻き込み肩甲骨の下角が外に開く
↓
背中を丸めて胸を圧迫
↓
顎が前にでる(ストレートネック)
↓
肩がスムーズに動かなくなる
↓
肩周囲の血液が悪きなり
↓
肩がこる
↓
その体形が継続されると慢性の肩こり症になる
逆に、腕の使い方のアンバランスにより肩が歪み、頚椎、胸椎が歪み、重心が偏り、骨盤まで波及することも多いです。
肩こり施術の重要ポイント
「僧帽筋」や「肩甲挙筋」のコリが長期間に及ぶと筋肉の柔軟性が低下します。伸びづらく縮んだ筋肉は、肩と肩甲骨を引き上げ肩をすぼめる姿勢になってしまいます。
こうなると肩関節の可動域も低下し、肩こりの悪循環に陥ってしまうのです。
猫背の人は肩こり
猫背の人は、胸椎の後湾により頭の位置が前に出ている状態(ストレートネック)で、頭の重心が前に移ります。
正常な体型ならば、適度なカーブを描いた脊柱の上に頭が乗り、うまくバランスがとれるのですが、猫背の人は、前に出た重い頭を首~肩周りの筋肉だけで支えているため、
慢性疲労(頸肩腕症候群)、肩こりを引き起こすのです。
肩こりは、文字通り肩周りの筋肉が凝ったり痛んだりする症状ですが、なぜ肩の筋肉が凝るのか?と考えたとき、やはり全身の問題になってくるのです。
全身を整えて、肩にかかる負担を軽減することが、肩コリの根本的な施術だと考えます。
肩こりの予防
痛み・ストレス・冷えがあると交感神経(自律神経系)が興奮し、末消血管か緊張(収縮)して血流がとどこうり、さまざまな症状がでて、知らず知らず慢性化してしまいます。
肩こりでも同じことが言えます。
予防(生活習慣を変える)
- 正しい姿勢を保つ
たとえば、テレビを見る時、どんな姿勢で見ますか?
×やってはダメ
横になり肘をついて観る、腹ばいの状態で観る。
◎理想的な姿勢
椅子に座るか正座またはあぐらで、 上半身を真っすぐにする。 画面は目と同じ高さが理想です。
- 体幹を鍛える運動をする。
- 定期的にストレスを発散する。
予防(指導してもらう)
- 正しい姿勢を保つ為に体幹を鍛える。
- 体の歪みを治し正しい姿勢を体に覚えこます。出来れば、定期的に体のメンテナンス(歪みを調整)を行う。