食道と胃の境目にある噴門の働きが弱くなり、胃酸が逆する症状を、胃食道逆流症( GERD)といいます。
胃食道逆流症には、2つのタイプがあり、内視鏡などで、食道に炎症や潰瘍などの病変が認められる場合は「逆流性食道炎」、病変が認められない場合は「非びらん性胃食道逆流症」と診断されます。
誰でも罹る病気ですが、最近では、仕事が忙しくストレスの多いサラリーマンやOLさんに多いようです。
逆流性食道炎は、なかなか完治しずらく、何年も不快な症状に悩んでいる患者さんが多いです。
主な症状は、胸焼け、胸のつかえ、げっぷ、吐き気、食欲不振などです。
胃のむかむかが続く、たまに熱い(酸っぱい)ものがこみあげてくる、という方が多いです。
特に、空腹時や夜間に症状がきつくなる特徴があります。
症状がひどいと、嘔吐やお腹が張って苦しくなり、食べ物が食べずらくなります。
また、喉に違和感を感じたり、咳が出たり、声がかれたりする場合もあります。
まれに、食道に炎症が認められるけれども、自覚症状がない場合があり、「無症候性逆流性食道炎」といわれます。
通常は閉じている、噴門部(ふんもんぶ:胃と食道の境目)の締りが悪くなり、胃酸や胃の内容物が食道に逆流することで起こります。
食道は、胃と違って、胃酸に対する保護機能がないので、強い胃酸にさらされることにより炎症を起してしまうのです。
噴門部は、下部食道括約筋で調整されるので、筋力が弱くなることが一番の原因です。
以前は、加齢による筋力低下が主な原因で、高齢者に多い病気だと思われていましたが、最近では若い人に増えています。
ストレスや体の歪みが関係していると考えられます。
また、食道には、逆流してきたものを胃に戻す働き(食道のぜん動運動)があるのですが、この動きが弱くなることも原因の一つです。
妊娠後期は、大きくなった子宮が胃を押し上げるために逆流性食道炎になりやすく、ツワリのような不快感が続きます。 出産後は症状は改善する場合が多いのですが、妊娠が引き金になって、その後も体調不良が続くことがあります。
胃が、横隔膜の食道が通っている穴(裂孔)の隙間から上にはみ出してしまった状態を食道裂孔ヘルニアといいます。
先天性の場合と、後天性の場合がありますが、主に横隔膜裂孔部分の、噴門部固定機構(胃から食道への逆流を防止する役目を担っている)の異常により起こります。
逆流性食道炎がひどくなると食道裂孔ヘルニアになると考える人が多いですが、必ずしもそうではありません。
しかし、どちらも原因は噴門部の異常ですので、相関関係にある事は確かです。
げっぷ、胸焼け、腹満感、逆流感、胸部のつかえ感、飲み込みづらい、胸部の圧迫感、などですが、まったく症状が出ない事もあり、健康診断のレントゲンで発見されるケースも多くあります。
症状がひどくなると、噴門が開きっぱなしになり、胃液や胃の内容物が逆流し、食道が炎症を起こします。(逆流性食道炎)
逆流性食道炎は、長い間食道が胃酸にさらされていることで炎症が進みます。
つらい症状が出る頃は、炎症はかなり進んでいる状態なので、治すのにも時間がかかります。
胸やけが続くな、と感じたら、早目に病院へかかりましょう。
食道の炎症が進み、食道の粘膜が胃の粘膜と同じ、バレット粘膜に変質しまう事があります。
一度変質した粘膜は元に戻ることは無く、食道腺がん(バレット腺ガン)の確率が高まるので、早期発見早期治療がとても大切です。
鈴木薬手院院長の監修記事が掲載されています。
「逆流止めストレッチ」のコーナー8ページにわたり、体操や体験談など。
是非、ご覧ください。