エコノミー症候群(エコノミークラス症候群)は、飛行機のエコノミークラスに乗った人に起こりやすい、急性肺動脈血栓塞栓症のことです。
狭い飛行機の席で、長時間座っていたために、下肢のうっ血により血栓ができ、それが、肺の血管を詰まらせ、急性肺動脈血栓塞栓症を起こします。
血栓が肺ではなく、脳の血管に詰まると脳梗塞、心臓の血管に詰まると心筋梗塞となります。
また、飛行機でなくても、長時間同じ姿勢をとり続けることによって起こることがあります。
主な原因
飛行機のエコノミークラスなどの狭い座席に長時間座っていると、下肢の血流が悪くなり、更に、乾燥による水分不足により血栓ができることがあります。(深部静脈血栓症)
血栓は、静脈の血管壁にくっついているのですが、飛行機が目的地について席を立つと、急に血流が良くなり、血栓が壁から剥がれて静脈を流れ、肺に詰まると、急性肺動脈血栓塞栓症となり、命にかかわる重大な症状を起こします。
7時間以上のフライトで発症頻度が高くなり、15時間以上になるととても危険です。
飛行機のエコノミークラスの乗客に多いのですが、ビジネスクラスやファーストクラスの乗客にも起こりますし、飛行機だけでなく、長距離列車や長距離バスに乗ったときや、タクシー運転手や長距離トラックの運転手などに発症することもあります。
また、乗り物でなくても、長い時間同じ姿勢でじっとしていた場合、例えば長時間のパソコン作業や、法事などで長い時間席を立たずに座っていた場合などに起こることもあります。
エコノミークラス症候群にかかりやすい人
- 下肢静脈瘤がある人
- 過去に、エコノミークラス症候群にかかったことがある人
- 心臓に異常のある人
- 下肢に麻痺がある人
- 妊婦さん、出産直後の人
- 3ヶ月以内に外科手術を受けた人
- 肥満の人
- 糖尿病の人
- 高脂血症の人
- 経口避妊薬(ピル)を飲んでいる人
- 足に怪我をしている人(打撲や骨折など、血管に損傷を受けている人)
主な症状と施術
深部に血栓が出来た場合は、下腿が赤くなり、はれ・痛みなどがあらわれます。浮腫が出来ることもあります。
血栓が流れ、肺に詰まると(急性肺動脈血栓塞栓症)、胸痛、冷や汗、呼吸困難、心拍数の増加、血圧低下、意識消失などが起こり、死亡するケースもあります。
施術は、血栓を除去叉は溶かして、血流を戻す施術が行われます。
薬物で血栓を溶かす方法と、手術で血栓を取り除く方法があります。
いづれにしても、早期施術が重要です。
命にかかわる病気ですので、ちょっとでもおかしいなと感じたらすぐに対応しましょう。
予防
長時間同じ姿勢をせず、1時間に1回くらいは歩き回ったり体を動かすと良いのですが、飛行中は、むやみに席を立つと危険なので、座ったまま、軽い運動をするとよいでしょう。
オススメの運動
- かかとを上げたり下げたりする。
- つま先を上げたり下げたりする。
- 片足ずつ、膝を抱える動作をする。
- 首を上下左右にゆっくり倒す。
- 肩をすくめてから、フッと力を抜く。
- 深呼吸をする。
また、飛行機の中は、乾燥するので、水分をたくさん摂るようにしましょう。
アルコールやカフェインは、利尿作用があり、逆に脱水症状を起こすことがあるので控えめにし、同量以上の水を飲むようにしましょう。
飛行機以外でも、長時間同じ姿勢でいるときは、1時間に一回は休憩を取り、体を動かしましょう。
歩き回れればそれが一番ですが、それが出来ない場合は、上記のオススメの運動をしてみましょう。
生活改善を!
高脂血症などで、血がどろどろだと血栓が出来やすくなります。食生活を見直し、さらさらの血を保ちましょう。
また、適度な運動を継続して行い、新陳代謝を高めましょう。