猫背
猫背とは
猫背は、身体が前かがみになり、猫のように背中が丸くなり、顔が前に突き出します。円背(えんばい)とも言います。
身体が不自然なカーブを描くことにより、いろいろな部分に不調が出ます。
頭痛や肩こりなどが主な症状ですが、子どもの頃から猫背がひどいと、呼吸器や、その他の内臓に影響がでたり、運動が苦手になったりします。
姿勢が悪い=スタイルが悪い
学校の身体測定で身長が同じであっても、背中が丸い子とそうでない子供を見た時の印象は凄く違います。
猫背だと、なんだか寂しげで小さく見えるし、病弱に見えます。
小学生では、背が高い子に猫背の子が多いですね。
友達が自分より小さいから、常に前かがみの姿勢をとっているせいかな?それとも、自分だけ大きいのがちょっと恥ずかしいのかな?
成長期に、わざと前かがみの姿勢を続けていると、自然とそのような姿勢が身についてしまい、筋肉も猫背姿勢を保つように偏った状態になってしまいます。
身体のどこか一部分が不自然な形になると、身体は自然と全体のバランスをとろうとします。
簡単に言うと、上半身が前にずれていたら、下半身が後ろにずれてバランスをとる、という感じです。
人間の身体は、そんなに簡単なものではないのですが、要するに、身体のほんの一部分の歪みが、全身に影響してしまうということです。
身体が歪んでいると、ウエストなどのくびれるべきところが緩み、全体的にたるんだ体型になってしまいます。
さらに、猫背の人は顔が前に突き出しているために、顎が緩み、むくんでしまうことも多く、顔が大きく見えてしまうようです。
体への影響
猫背は、ただ、見た目が悪いだけではありません。
一番の問題は、呼吸が浅くなることです。
背中が丸まって、顎が上がり、肩甲骨の下角が外側にひらき背骨が後湾している状態では、呼吸に最も大切な横隔膜がうまく機能しません。
胸郭が押しつぶされる格好になるので、心肺機能が低下してしまいます。
複式呼吸は、横隔膜(C4)を使った深い呼吸です。
猫背だと、肩がすぼまっているために、この深い呼吸が出来なくなってしまうのです。
また、横隔膜神経は首から出ています。横隔膜が正しく働かないと首に多大な影響がでます。
たとえば、頭痛・めまい・肩こりなどが起こりやすくなります。
子供の場合は、起立性貧血・車酔いなどの症状が出ることが多いです。
また、猫背は前後のカーブの崩れですが、それに左右の歪みが合わさると、脊柱側湾症となります。
隠れ猫背に注意!
一見して判らない、隠れ猫背というのがあります。
背中が丸くなっているのを、腰を前に出す(骨盤を傾ける)事によって隠してしまうのです。本人は、背筋をピンと張っていると思っていますし、外見からも猫背には見えなかったりします。
隠れ猫背の人も、骨盤が前にずれているために、腰痛が起こりやすくなるので要注意です!
猫背のチェック
原因は大きく2つ
一つは、日常の姿勢や動作の癖などによるもの。
もう一つは、筋肉の衰えです。
ほとんどが日常の姿勢や動作の癖などによるものが多いですが、最近では、運動不足によって筋力が弱くなっていることも原因の一つとしてあげられます。
普段の姿勢を見直しましょう
机に向かっているとき、テレビを見ているとき、ゲームをしているとき、どんな姿勢をしていますか?
子どもは、自分では気づいていない場合が多いので、大人が注意してみてあげて下さい。
- 勉強するとき、前かがみになっている。
- ゲームなど、背中を丸めた姿勢を長くすることが多い。
- イスに座る時、お尻を前にずらし、後ろに寄りかかる姿勢が楽。
- 背が高く、周りの人と話をする時、かがむことが多い。
- 自信がなく、肩をすぼめている。
- 外遊びをあまりしない。
- 寝るとき、高い枕を好む。
- 肩こり、頭痛がある。
また、上記でもふれました、「隠れ猫背」は、見た目では気づかないことも多いので、しっかりとチェックをしてください。
猫背のチェック
まっすぐ立たせ、横から姿勢をチェックします。見ただけでは判らないことも多いので、写真を撮って、線を引いてみることをお勧めします。
まっすぐな姿勢
耳の前、肩、股関節、くるぶしが 、一直線に並びます。
ポイント!
お尻よりも背中の方が前に出ます。
猫背姿勢
顔、肩、骨盤が中心よりも前に出ます。
ポイント!
背中よりもお尻が前に出ます。
猫背の施術
当院の療法
当院の無痛整体は、猫背だからと背中を施術するのではなく、身体全体のバランスを整えるように施術していきます。
猫背は、背中だけが丸くなっているのではなく、生理的湾曲(S字カーブ)が崩れている状態です。全身が歪んでるのですから、全身を整えてあげる必要があるのです。
施術例
下の写真は、中学1年生の患者さんです。
もともと猫背だったのが、骨折をしてから、ますます姿勢が悪くなり、気になって来院。
また、数年前から続けざまに左腕を怪我(捻挫2回・骨折1回)していて、やはり身体の重心がずれているのでは?と思っていたとのこと。
※骨折のページにもっと詳しく説明してあります。
普段の姿勢がかなり影響していますので、勉強しているときの姿勢や、ゲームを長く続けないことなど、本人にも意識を持ってもらう事が大切です。
よくある質問
Q1 生まれつきの猫背ってありますか?
A 親と子が似るのは骨格が似ているからです。遺伝ですね。
ですから、猫背の親から生まれたら、猫背になりやすい要素は確かにあります。しかし、多くの場合は日常生活の悪い動作の積み重ねによるもので、生まれつきではありません。
猫背が気になっている大人が、自分が小さい頃(生まれた時)から猫背だったかどうか考えてみると、そうではない人が大半です。
そもそも赤ちゃんの頃は、脊柱のS字カーブができ上がっていませんから、猫背もなにもないのです。
歩き始める頃にS字カーブができ上がるのですが、ハイハイをあまりしなかったり、無理に立たせたり、歩行器を使っていた子どもは、股関節の発育が不十分で、脊柱のS字カーブが乱れて猫背になります。
そして、その後の成長過程での悪い姿勢が、より一層背骨を歪ませ筋肉に負担をかけます。子供は親を真似しますから、親が悪い姿勢で生活していれば、子供も自然と悪い姿勢になるのです。
長い間、疲労が蓄積すると骨(椎骨)や椎間板に大きな加重が継続的にかかり変形(変性)し猫背を助長します。
Q2 猫背は、背中を伸ばせば治るのですか?
A 大きな勘違いです。
猫背の人は、生理的湾曲に大きな問題があります。背中だけではなく、全身の問題なのです。
生理的湾曲の異常は骨格を歪ませ、正しい姿勢を保てなくします。
姿勢が悪い人(生理的湾曲が異常の人)=猫背です。
猫背を改善するという事は、身体全体のユガミを治すことなのです。
歪みの改善が猫背の改善になり、姿勢矯正になります。
猫背の改善
身体の状態を知りましょう
股関節が硬く、両側ともほとんど開いていません。腰も引けて、猫背になっています。
股関節は柔らかく開いていますが、足の位置が身体の中心からずれてしまっています。
まず、股関節の可動域をチェックしましょう。
床に座ってからだの前で足の裏を合わせます。その時の、膝の開き方をチェックしましょう。
本来は、両方の膝が床につくのが理想です。
- 膝の開き具合はどうか
- 左右で開き方に差がないか
- 足が身体の中心とずれていないか
しっかりチェックしておきましょう。
正座がきちんとできない場合は、かなり関節が硬いので要注意です!!
股関節が硬いということは、関節が正常な動きをしていない=歪みがあるということです。
次に、普段の姿勢をチェックしましょう。
上記の「猫背のチェック」のところでも書きましたが、猫背になりやすいポーズ(姿勢)をしているかどうかチェックしましょう。
子どもは自分では悪い姿勢に気づいていない(それが普通だと思っている)ので、周りの大人がチェックしてあげる必要があります。
一緒に取り組みましょう!!
子どもが悪い姿勢をしていたら、一覧表などにチェックしておくと、子どもも自分で注意するようになります。
整体で教わった体操をした回数や、股関節の開き具合などもチェックしておくと、励みになります。
言葉で注意するだけでなく、一緒にやってみたり、一緒にチェックをしたりして、少しでも改善したらたくさんほめてあげましょう。
猫背にならない身体作りをしましょう
正しい姿勢は、真っ直ぐに立って、横から見たときに、耳の前・肩の中心・股関節・くるぶしの前が一直線に並びます。
正しい骨格の位置=正しい姿勢=健康な骨格なのです。
治療(整体)では、筋肉に正しい位置を覚え込ませることにより、骨格を正しい位置に改善します。
その時の正しい姿勢を保てるような身体を作ることが一番の改善方法です。
治療で改善しても、その後の身体の使い方によって筋肉の状態が悪いと、元に戻ってしまいます。特に、骨や椎間板に問題がある場合(きつい猫背や側湾症など)は、元に戻りやすいです。
戻らないようにするには、自分に合った適切な運動が必要です。
治療と平行して、
適切なトレーニングを継続すれば、かなり効果は上がります。
猫背に効果的な運動
- 足を肩幅に開いて経ち、両手を身体の後ろで組みます。
- 肘を伸ばし、後ろ側に引き込むように腕を持ち上げます。(胸を張る感じ)
- そのままゆっくり3呼吸します。
- 後ろで手を組むとき、手のひらが真っ直ぐになるように注意してください。
- この動きを、2セット行います。
※もうちょっと詳しく見たい場合は、体操のページをご覧下さい。
施術の回数を重ねるごとに姿勢が良くなっていきますが、猫背を改善するには、普段の姿勢を気を付けたり、正しい筋肉をつけるために全身を運動をするなど、本人の努力も必要です。