脊柱は緩やかにカーブしています
背骨(脊柱)は、横から見ると、緩やかにS字を描いています。
このカーブは、重たい頭を支えるためのサスペンションの役割をしています。
ですから、カーブが緩くなったり強くなったりすると、サスペンションの役目が上手く働かなくなり、筋肉ががんばって体を支えようとします。
そのため、首や背中の筋肉が疲労して痛くなったりします。
そして、筋肉ががんばっても体のバランスが取れなくなると、他の部分のカーブを強めたり弱めたりして、補おうとします。
生理的カーブ(S字カーブ)が崩れた代表的な症状として、猫背とストレートネック、脊柱側湾症があげられます。
〔猫背〕
後湾が強くなった状態です。この状態では、骨盤の傾斜もおかしくなっています。また、頭を支えるために、首の湾曲が少なくなります。(ストレートネック)
〔ストレートネック〕
猫背の人は、ほとんどがストレートネックです。
首のカーブが少なくなり、頭を前に突き出した姿勢になるので、自然と背中の後湾が強くなります。(猫背)
〔脊柱側湾症〕
S字カーブの崩れと同時に、左右湾曲した状態を、脊柱側湾症と言います。
思春期期に発症することの多い特発性側湾症は、左右の湾曲に捻れも加わります。もちろんS字カーブも乱れ、カーブが多いか少ないかどちらかです。
※脊柱側湾症のページもご参照下さい。
3つの例でもわかるように、S字カーブは全身のバランスを調整する役割をするので、どこか一部分のカーブが崩れるというよりも、全身の崩れです。
生理的湾曲は、生まれた後に作られます
生まれたばかりの赤ちゃんの脊柱は、S字カーブを描いていません。
全体的に丸く後ろにカーブしています。これを、一次湾曲と言います。
首が座ると、首の前湾が現れます。これを、二次湾曲と言います。
首の前湾ができることで、首をしっかりと支えることが出来るようになるのです。
そして、二足歩行が出来るようになる頃に、腰の前湾が現れ、S字を描いたカーブになります。
後湾を一次湾曲、前湾を二次湾曲と呼び、これが交互に現れることによって、S字になるわけです。
また、脊椎の一番下は、仙骨(仙椎)という尾てい骨の上の骨なのですが、仙椎は子供の時は、一枚の板状ではなく、離れています。
大人になると逆三角形の一枚の板状の骨になるのですが、
仙椎の状態が悪いと夜尿症の原因やS字カーブの形成に悪影響を及ぼします。
S字カーブは、股関節の形成と大きく関係しています
股関節が体を支えられるようになると、直立出来るようになり、伝い歩きなどから体のバランスをとることを覚え、やがて支え無しで歩けるようになるのですから、S字カーブができるのと、全く同時進行しているわけです。
股関節の形成に不良があると、S字カーブにも影響します。
骨盤の傾斜が悪いと、S字カーブが強くなったり緩くなったりするのです。
ですから、股関節の正常な形成が非常に大切になってきます。
股関節の形成に大切なポイント
- 赤ちゃんの時に、無理に足を伸ばさない(真っ直ぐにさせない)
- 左右の太もものしわが同じか、動きに違いがないかを常にチェックする
- ハイハイをたくさんさせる
- 歩行器は使わない(自分で体重を支えることが大切です)
- 無理やり立たせない
※先天性股関節脱臼のページをご参照下さい。
少しでも気になることがあったら、すぐに専門医を受診してください。先天性股関節脱臼のほとんどが、きちんと治療することによって完治します。