股関節の22本の筋肉
骨、関節包、靭帯からなる股関節の動きは複雑です。体重を支えながら、いろいろな方向に動かすことができる球関節です。
股関節は、22本の筋肉で支えられていて、大きな衝撃を吸収して軟骨や骨を保護する役目をしています。
これらの筋肉の起支は腰椎や骨盤から、停止は大腿骨や膝や脛骨についています。
22本の筋肉が正常に働いていれば、問題は起きません。飛んだり、跳ねたり、走るなど大きな衝撃を受けても、これらの筋肉が衝撃を吸収してくれます。軟骨や骨を痛めることもありません。
股関節を正常に働かすためには、
- 腰や骨盤の正しい位置に在るべきです。
- 股関節の正しい可動性が必要です。
- からだを支える大きな関節ですので体重を支える筋力が必要です。
筋力は、普段の努力で鍛えることが出来ます。
ご自分で出来ることから少しずつがんばって、股関節を長持ちさせましょう。
※オススメは、お尻歩き体操です。
腸腰筋(3本の筋肉)
- 腸骨筋(ちょうこつきん)
- 大腰筋 (だいようきん)
- 小腰筋 (しょうようきん)
主に股関節を屈曲させる働きをします。
腹腔の後ろにあり、脊柱を前屈させる筋でもあるため「深腹筋」と呼ばれることもあります。
腸腰筋は、ハムストリングスとの主な拮抗筋であり、運動能力との相関が深い筋肉群です。
主な動作
歩く時に大腿を持ち上げて脚を前に振り出す。
車に乗るときに脚を挙げる。
内転筋群(5本の筋肉)
- 恥骨筋(ちこつきん)
- 短内転筋(たんないてんきん)
- 長内転筋(ちょうないてんきん)
- 大内転筋(だいないてんきん)
- 薄筋(はつきん)
両脚の股を閉じる筋肉です。
身体の重心を内側に引き寄せ、動作を安定させます。
内転筋が硬いと・・・
身体が硬い。(開脚、前屈が苦手)
マット運動で開脚前転ができない。
開脚が出来ない為に跳び箱が飛べない。
内転筋が弱いと・・・
O脚になる。
座っているとき、自然に膝が開いてしまう。
外転筋群(3本の筋肉)
- 中殿筋(ちゅうでんきん)
- 小殿筋(しょうでんきん)
- 大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)
股関節外転の運動をします。
重心が外側にずれたときにその力を抑える働きや、身体の横揺れを防ぐ働きをします。
外転筋がしっかりしていると・・・
ゴルフで言うと膝のスエーを防げます。
大殿(臀)筋
お尻の大きな筋肉です。力を入れると盛り上がり硬くなります。
屈曲した股関節を元に戻す(伸展)働きをします。
立っている時に股関節を後に動かす為の筋肉です。
背中(背筋)を伸ばす働きもします。
大きな筋肉の為、歩行の時の推進力(パワー)です。
大殿筋が弱いと・・・
変形性股関節症の患者さんで、出尻で尚且つ背筋が伸ばせない方は、腰椎の歪み(左右差)により腸腰筋が働けない状態です。脚が挙げにくく、又お尻の凹凸ができ大殿筋が上手く使えないのです。使えないから大殿筋の筋肉が小さくなってしまうのです。
深層外旋筋(6本の筋肉)
- 梨状筋(りじょうきん)
- 上双子筋(じょうそうしきん)
- 下双子筋(かそうしきん)
- 大腿方形筋(だいたいほうけいきん)
- 内閉鎖筋(ないへいさきん)
- 外閉鎖筋(がいへいさきん)
股関節を外旋させる働きをします。
脚を床に着いた時に、大腿骨を骨盤にしっかり押し付け股関節の衝撃を吸収します。
股関節を脱臼から防ぐ働きがあります。
外旋筋群に問題があると・・・
お尻に左右の大きさの差が出ます。
伏がい位(うつ伏せ)の時、踵に左右差がでます。
大腿四頭筋(4本の筋肉)
- 大腿直筋(だいたいちょくきん)
- 外側広筋(がいそくこうきん)
- 内側広筋(ないそくこうきん)
- 中間広筋(ちゅうかんこうきん)
※2~4は股関節に直接関係しないが膝関節に関与します。
大腿直筋は、脚の前面にある大腿四頭筋の一つです。
大腿直筋は股関節を曲げる働きと、主に膝関節を伸ばす働きがあります。
膝の痛みがあるとき・・・
股関節に炎症がおこると、痛みは大腿直筋に広がり、膝のお皿の下が痛くなります。
患者さんで膝の痛みをうたえる方に、原因が股関節からくる関連痛の場合があります。
反対に股関節の痛みが膝が原因している場合もありますので全身の確認が必要です。
ハムストリングス
- 大腿二頭筋(だいたいにとうきん)
- 半膜様筋(はんまくようきん)
- 半腱様筋(はんけんようきん)
ハムストリングスは脚の後面にあります。
3本の筋肉を合わせてハムストリング(ハムストリング筋)と呼びます。
ハムストリングスが痛むと・・・
この筋肉群が痛むと大腿の裏が痛み、「坐骨神経痛」に似ていますので、坐骨神経痛と診断されたりします。
この筋肉の始点がお尻の坐骨からで、終点が膝の内側と外側ですので、股関節のお尻が痛くなったり、膝関節の内側や外側が痛むこともあります。
特に膝関節の内側が痛む時は、ハムストリングに問題があります。
大腿直筋もハムストリングスも膝を守ることです。
股関節より上部に始点がありますので、この筋肉に問題が生じると股関節に悪影響を与えます。