妊娠すると体が大きく変わります
妊娠するとすぐに、お母さんの体は出産に向けての準備を始めます。
まだお腹が目立たない時期でも、身体は大きく変化するのです。
それに伴い、いろいろな症状がでてきます。
- 妊娠初期(2ヶ月~4ヶ月):子宮が大きくなり始める。・・・・つわり、便秘・下痢・頻尿、恥骨痛、股関節痛など。
- 妊娠中期(5ヶ月~7ヶ月):お腹が大きくなり、体重が急に増える。・・・・腰痛、疲れやすくなる、歯や歯茎の不調など。
- 妊娠後期(8ヶ月~10ヶ月):大きくなった子宮に圧迫されて、いろいろなところに不調がでる。・・・・足のむくみ、静脈瘤、
ふとももや股関節の痛み、こむら返り(足がつる)、貧血、便秘、痔、高血圧、妊娠中毒症、胃のムカつき(逆流性食道炎)、
息苦しさ、など。
これらの症状は、程度に個人差はあっても、妊娠~出産に伴って起こるやむをえない症状で、出産が終われば、自然とおさまるのが普通です。
妊娠初期からの股関節痛
妊娠中に股関節痛(足の付け根の痛み)を訴える患者さんはとても多いです。
痛みがひどく、産婦人科の先生に相談したり、整形外科へ行くと、
「妊娠すると、出産に備えて骨盤が緩くなるので、痛みが出るのはしょうがないこと。出産すれば治るから、しばらく我慢して。」
と言われ、痛み止めなどの薬も処方してくれないことがほとんどです。
主な症状
- 歩いているとだんだん痛くなる。
- たまに、激痛が走る。
- 立ったり座ったりすると痛い。
- 寝返りを打つと痛い。
- 股関節だけでなく、恥骨や腰も痛い。
などです。
主な原因
妊娠すると、出産に備えて骨盤が開くように、リラキシンというホルモンが分泌されます。
リラキシンは、骨盤周りの筋肉を緩める働きがあり、妊娠初期と後期に多く分泌されます。
現代の人は、生活様式の変化から、骨盤周りの筋肉が弱く、妊娠初期から骨盤が緩みすぎてしまう傾向があるようです。
骨盤が緩みすぎると起こる症状
- 腰痛、股関節痛、恥骨痛
- 下半身のむくみ・不快感
- 頻尿、便秘、痔
- 子宮が早い時期から下がってしまう・・・・流産、早産、難産の原因になります。
また、骨盤が緩んでいるということは、歪みやすいということです。
ただ緩んでいるだけでは症状は出ないのですが、歪んで左右のバランスが崩れると、股関節痛など、痛みや不快な症状がでるのです。
産前から骨盤に歪みがある人は、より歪みがひどくなり、症状も出やすくなります。
日常生活のちょっとしたクセなどでも骨盤は歪んでしまいますので、妊娠中は特に気をつけましょう。
股関節痛の人に多いクセ
- 横座り、アヒル座り(ぺちゃんこ座り)をよくする
- イスに座った時に足を組む
- 立っているときにどちらからの足に体重をかけている
当院での施術
骨盤が緩みすぎている場合は、締めるように施術します。
仰向けに寝た時に、膝(お皿)が外側を向いて、膝裏が浮いた状態になっていると、股関節が開いています。
内転筋(足の内側の筋肉)・大臀筋(お尻の外側の筋肉)が緩み、外転筋(足の外側の筋肉)が緊張している状態です。
左右のバランスが崩れていると、痛みが出るので、バランスを整えます。
- 首が左右向きやすさが違う場合は、重心が偏っているので、骨盤も歪んでいる。
- 骨盤の傾斜がきつい人(猫背、ストレートネック、出っ尻)は、骨盤が緩みやすい。
妊娠中に骨盤を整えておくと、体調がよくなり、安産が望めます。
また、骨盤が歪むと全身も歪むので、産後の母乳の出にも影響がでます。
※妊婦さんの施術のページもご参照ください。
産後の股関節痛
出産後は、骨盤が最大に開いている状態です。
とても不安定な状態ですので、1ヶ月は安静にして骨盤が元に戻るのを待たなければいけないのですが、無理をして動いてしまうと、骨盤が歪んだ状態で固定されてしまいます。
産後に股関節や恥骨が痛む原因は、骨盤の歪みです。
仰向けに寝た時に、足の開き方が左右で違う場合、股関節の開きがアンバランスですので、股関節痛が起こりやすくなります。
また、骨盤が開いたままだと、内臓が骨盤の中に下がってきて、下腹がぽっこりと膨らみます。それにより、膀胱が押され、頻尿や尿漏れが起こりやすくなります。
骨盤が緩んでいる時は、骨盤矯正のチャンスでもあります。 出産後は、できるだけ早く骨盤を整えましょう。
産後に気をつけること
- 1ヶ月は安静に! …家事や育児も最低限にとどめ、できるだけ横になって休みましょう。
- 横座り、アヒル座り(ぺちゃんこ座り)をしない …正座か、あぐらをかくようにしましょう。
- 足を組まない。
- 赤ちゃんに母乳をあげるときは、クッションなどを利用し、前かがみにならない。
- 出来るだけ重いものは持たない …特に、兄弟が居る場合に注意。抱っこは座って膝に乗せるようにしましょう。